対象年齢 13歳〜15歳
第3回のレッスンでは、引き続き、避難所で発生しやすい熱中症とエコノミー症候群についてプログラミングで解決できる方法を段階を追って考え、モジュールを組み合わせて装置をつくります。
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次のページよりこのレッスンで使うスライドが1ページずつ表示され、 下にはそのスライドを説明する文章が入ります。
【第3回 目次(全60ページ)】
プログラミング授業「震災+CODE(しんさいぷらすこーど)」3回目の授業を始めます。
* … 適宜編集する部分
☆ … アドバイス、ポイント
★ … 必ず抑えるところ
※ … 参考URL
本日の授業は、こちらのスタッフがみんなのサポートをします。よろしくお願いします。
★一人ずつ顔と名前が一致するように挨拶
本日の授業の内容です。
前半は前回みなさんに考えてもらったアイデアでプログラミングをします。
後半は3つ目の課題【エコノミークラス症候群の予防】に取り組みます。
前半で日本の自然災害と避難生活で起こる課題についてお話をしたいと思います。
後半では、プログラミングの復習と今回使うパーツについて学んでもらいたいと思います。
前回の授業について振り返っていきましょう。
前回の授業でアイデアを考えるときは、問題を抱えて困っている人の様子と気持ちを、できるだけ具体的にイメージしてみること、
プログラミングでは、INPUT&OUTPUTブロックの使い方と、arduinoを使ったコードの書き方について学びました。
自分たちのアイデアに合わせてコードを書き換えて動かしてみました。
今日は前回の続きからです。熱中症の課題のアイデアを出したところで終わっていました。
課題を確認してみましょう。
避難所で生活している80歳のBさん。「喉も渇かないし、汗もかいていない」と、水分補給をほとんどしていません。
このままだと、気がつかないうちに身体の体温が上がり、脱水症状を経て、熱中症になってしまう恐れがあります。
熱中症を防ぐためにはこまめな水分補給が大切ですが、Bさんは一人で避難しているため、水分の摂取を促してくれるような家族もいません。
【Bさんがこまめに水を飲み、熱中症になるのを防ぐための装置】をつくりましょう。
前回の授業では、4コマ漫画の発想シートを使って考えてもらいました。
今日も、1つ目の課題【支援物資の管理】と同様に、ブロックを使ってアイディアを実践していきますが、
今回はプログラミングをする前に、「フローチャート」という設計図をつくるところからはじめます。
【支援物資の管理】のワークでは、すぐにプログラミングをしましたが、
一般的には、いきなりコードを書き始めるのではなく、どういう構造で組み立てるかを整理したプログラミングの設計図「フローチャート」
を考えてから書き始めます。
フローチャートとはどんなものでしょうか。
みなさんも友だちとの間で、このようなチャートをやったことはありませんか?
この性格診断もフローチャートの1つです。
フローチャートでは、書かれている条件に当てはまるかどうかを、Yes/Noで枝分かれしていきます。
「約束の時間や予定はきちんと守るほうだ」Yesと答えると左へ、次は「悩み事があっても、まずは自分で解決しようとする」Noと答えると右へ…と、条件に当てはまる/当てはまらない、を答えながら進んでいくと、自分はどのタイプなのか診断することができます。
プログラミングで用いるフローチャートは、コンピュータが次に何をすれば良いのか整理するためのものです。
使う部品が増えたり、条件が増えたり、と複雑になればなるほど、設計図に立ち戻る必要が出てきます。
そのため、難しいコードが書けること以上に、プログラムしたいことの構造を論理的に考え、整理できることが、とても大切です。
今日の授業では、電子部品名を書いたカードを準備しました。
このカードを使って、プログラミングをする前に、みなさんが考えたアイデアはどういう構造になっているのか、フローチャートを使って、整理していきましょう。
★ … シート④配布
まずは、前回出したアイデアの中から、どのアイディアからやってみるか、チームで相談して1つ決めましょう。
★5分で前回出たアイディアを共有し、どのアイディアにするか決めてもらう
どのアイディアを実現するか、決まりましたか? それでは、フローチャートをつくっていきましょう。
フローチャートには書き方のルールがいくつかあります。
1.上から下に順番に指令が伝わる
2.INPUTからは矢印が2本でる
3.OUTPUTはON/OFFを記入する
たとえば【水を飲んでから1時間経つとブザーが鳴って知らせてくれる装置】というアイディアの場合は、こんなフローチャートになります。
①まずINPUTの「距離センサー」で、ペットボトルが置かれている/置かれていない、を感知できるようにします。
②距離センサーがペットボトルを感知している場合は、時間を測ります。
③1時間経ったら、ブザーが鳴って水を飲む時間を知らせます。
④距離センサーがペットボトルを感知しない場合、つまりペットボトルがない、ということは、Bさんが水を飲んでいる状態なので、ブザーはなりません。
★実物見せながら説明
★10分でつくる
つくってもらったフローチャートに基づいて、プログラミングをしていきましょう。
この前チャレンジしたようにプログラミングをしてみてください。
ブロックの使い方は覚えていますか。
★必要であれば確認
★すべてのチーム同時に進める
★作業が進んでいないチームはないか適宜確認
★必要であれば確認(全員覚えていれば飛ばす)
★覚えていたら飛ばす
INPUTの電子部品は3種類
OUTPUTの電子部品は4種類でしたね。
どんなアイデアをつくったか、発表しましょう。
では、最後の課題です。
テーマは、「エコノミークラス症候群」です。
エコノミークラス症候群という言葉は聞いたことがあるかもしれませんね。
どんな症状なのでしょうか。
★避難生活で起きるエコノミークラス症候群のニュース
★エコノミークラス症候群の説明
★症状について
★予防について
エコノミークラス症候群の症状や予防についてはわかりましたね。
では、課題を説明します。
避難所で生活している30歳のCさん。お父さんとお母さんは毎朝避難所で行なわれているラジオ体操に参加していますが、Cさんはなんだか恥ずかしく、参加していません。
1日中座ったり寝転んだり、ほとんど同じ姿勢で長い時間を過ごしているCさん。このままだと血管の中に血液のかたまりができ、そのかたまりが流れて肺の細い血管につまって倒れてしまう、エコノミークラス症候群になってしまう危険があります。
【Cさんが毎日身体を動かし、エコノミークラス症候群に陥るのを防ぐ装置】を発明しましょう。
【Cさんが毎日身体を動かし、エコノミークラス症候群に陥るの防ぐ装置】。
一体どんなものなのか、考えていきましょう。
これまでと同じように、4コマ漫画の発想シートを使って考えていきます。が、今回はたくさんアイデアを出すコトに集中してみてください。今から、みんなが今使っているモジュールの仲間を使って世の中で作られている面白い例を紹介したいと思います。
ぜひこの課題のヒントにしてみてください。
★シート③配布
・姿勢認識技術(モーションキャプチャ)と呼ばれる技術
自分の身体をカメラが認識して、「あ」という文字として壁に映し出されます。腕を上に伸ばせば「あ」の横棒も上に伸び、身体を小さく縮こまらせると「あ」もくしゃっと小さくなります。
・これは、画像解析の技術。
水族館の水槽にカメラを向けると、魚の名前を表示してくれるアプリがあります。
「こういう特徴のある魚はこの種類だよ」とあらかじめ記憶させておく、画像解析技術が活用されています。
・スマートスピーカー
声で操作することができるコンピュータです。「電気を消して」というと電気を消してくれたり、「明日の天気は?」と聞くと答えてくれます。
・スマートグラス
サングラスに、傾きセンサーや速度センサーがついていて、速さのペースや走り方をアドバイスしてくれます。
・プロジェクションマッピングの技術を活用した卓球ゲーム
卓球台にはブロックの映像が投影され、卓球台の上に設置されたカメラが、ボールが当たる場所を認識し、その場所のブロックが壊れます。
3Dプリンタ
コンピュータでつくった立体のデータを、プラスチック等の素材で再現してくれる機械です。
レーザーカッター
コンピュータでつくった平面のデータのとおりに、レーザー光線で木材やアクリルを切ったり彫刻したりすることができます。
どうでしたか?
このようなテクノロジーも参考に、これまで使ってきたINPUT、OUTPUT以外にも使える技術があるかもしれない、という発想で、この課題を考えてみましょう。
左側は、何も対策をしなかった場合のストーリーです。
1コマ目。Cさんは布団で寝ています。お父さんとお母さんは他の避難者の方と一緒にラジオ体操をしていますが、Cさんはなんだか恥ずかしくて、布団からでてきません。
Cさんは一日中、ずっと布団でゴロゴロ…
トイレに行こうと立ち上がろうとしたとき、急に苦しくなって倒れ込んでしまいました。エコノミークラス症候群です。
右側は【Cさんが毎日身体を動かし、エコノミークラス症候群に陥るの防ぐ装置】をつくった場合のストーリーです。
真ん中の空いている2コマを考えてみましょう。
1コマ目。Cさんは布団で寝ています。
2コマ目。【Cさんが毎日身体を動かし、エコノミークラス症候群に陥るの防ぐ装置】とはどんなものなのか、具体的なアイデアを考えてみましょう。
たとえば。
3コマ目。2コマ目で考えたアイデアが実現した結果、人の気持ちや行動はどう変わるのか、具体的に書いてみましょう。
身体を動かすようになった結果、エコノミークラス症候群になることなく、元気に過ごすことができるようになりました。
この2つの空きコマを埋めながら、Cさんを助けるアイデアを考えていきましょう。
先ほど紹介したテクノロジーやこれまで使ったINPUT&OUTPUT、などを使ってもいいですし、今はまだ確立されていない技術を想像してみてもいいでしょう。一人ずつ自由に考えてみましょう。
★質問ないか確認
★何人かに発表してもらい、全体で共有
では、本日のまとめです。
プログラミングをする前には、フローチャートを書いてみて、一旦全体を整理してみること、
そして、アイデアを考えるときには、様々なテクノロジーを知り、それをどう使うか工夫をこらすこと、
を学びました。
この授業のまとめとして、
震災が起こった時は何が使えるか分かりません。今日使ったものの中で3つしか使えないこともあるかもしれません。
これまで使ったことがないものばかりということもあるかもしれません。
その時に、どうしたら解決できるのかを考える、ということが非常に大切です。
このことをぜひ覚えておいてください。
これで、「震災+CODE」の授業を終わります。
ありがとうございました。