カリキュラム

レベル2

震災+CODE

対象年齢 13歳〜15歳

レッスン2
アイデア発想/プログラミングする

 

第2回のレッスンでは、避難所で発生しやすい支援物資に関する問題と熱中症についてプログラミングで解決できる方法を段階を追って考え、モジュールを組み合わせて装置をつくります。

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プログラミング授業「震災+CODE(しんさいぷらすこーど)」2回目の授業を始めます。

* … 適宜編集する部分

☆ … アドバイス、ポイント

★ … 必ず抑えるところ

※ … 参考URL

本日の授業は、こちらのスタッフがみんなのサポートをします。よろしくお願いします。

★一人ずつ顔と名前が一致するように挨拶

今日は、前半で【支援物資の管理】という課題に取り組み、後半で【熱中症の予防】という課題に取り組みます。

よろしくお願いします。

前半で日本の自然災害と避難生活で起こる課題についてお話をしたいと思います。

後半では、プログラミングの復習と今回使うパーツについて学んでもらいたいと思います。

最初に前回の内容について振り返ってみましょう。

前回学習したことの1つ目。

この授業では、「避難所で起きるトラブルをプログラミングの力で解決する装置をつくる」ということ。

2つ目は、「INPUT&OUTPUT」という仕組みです。INPUTは入力、何が何の値なのか感知します。OUTPUTは出力、何かを動作させます。

たとえば、

INPUTは、音の大きさや光の明るさなど、何がどんな値なのかを感知します。OUTPUTはその値に応じて、ブザーを鳴らしたり、モーターを動かしたりします。

ここまでが前回の復習でしたが、覚えていましたか?

では、みんなに取り組んできてもらった宿題の共有をしましょう。

みんなの身の回りには、どんなINPUT&OUTPUTがありましたか。

グループの中で、どんなものを見つけたか教え合いましょう。

発表したカードは、テーブルの上の模造紙に貼っていってください。同じもの、似ているものは近くに貼ってみましょう。

それでは、はじめてください。

INPUTとOUTPUTが日常生活の中にたくさんあることがわかりましたね。

このように、さまざまな電子部品を組み合わせ、プログラミングで制御することで、生活が便利になったり、困ったことを解決したりすることができます。

今日と次の授業では、避難所の課題を解決するアイデアを考えていきます。

ここからが今日から取り組むところです。前回もお伝えしたように、「震災+CODE」の授業を通してみなさんに取り組んでもらうのは、南海トラフ地震が発生した際に想定される避難所の課題解決です。

もう一度課題のシチュエーションを思い出してみましょう。

★課題を理解している場合は、以下10-13のスライドは飛ばしてもよい

ここ、佐川町も、津波の被害はないものの、約1,400 棟の住宅が倒壊・半倒壊し、町内全域で3,000 名の住民が避難生活を余儀なくされています。

拠点避難所に指定されている尾川中学校にも、約100名の住民が住宅の倒壊や停電・断水により一時的に避難しています。

避難という非日常時には、水不足、治安の悪化、住民同士の衝突などさまざまな問題が生じます。それは時として、死という最悪の事態にもなりかねません。

ここ、佐川町も、津波の被害はないものの、約1,400 棟の住宅が倒壊・半倒壊し、町内全域で3,000 名の住民が避難生活を余儀なくされています。

拠点避難所に指定されている尾川中学校にも、約100名の住民が住宅の倒壊や停電・断水により一時的に避難しています。

避難という非日常時には、水不足、治安の悪化、住民同士の衝突などさまざまな問題が生じます。それは時として、死という最悪の事態にもなりかねません。

みんなは、この避難所の運営事務局のメンバーに選ばれました。

仲間と協力しながら、センサーやプログラミングの技術を使って、避難所で起こるさまざまなトラブルを解決する“ 発明装置 ”を生み出してください。

みんなに取り組んでもらう1つ目の避難所の課題は、「支援物資の管理」です。

避難所には、さまざまな支援物資が届きます。

飲料水、缶詰やレトルトなどの食料、毛布や断熱シートなどの防寒具、簡易トイレ、おむつなど、水道・電気・ガスが届かない避難所で生活していくための物資が必要とされています。

支援物資を送ってくれるのは、国・他の市町村・企業・市民の方々です。

限られた物資を避難所のみんなで分け合うためには、きちんと管理する必要があります。

<参考資料>

http://www.bousai.go.jp/updates/h280414jishin/h28kumamoto/pdf/h280729sanko05.pdf

支援物資の保管場所は、避難所によって異なります。

<参考>

http://www.city.ichikawa.lg.jp/pr/2170204/toku_topics2170204.html

たくさんの物資が置けて、なおかつ鍵がかけられるような部屋がある避難所の場合は管理しやすいですが、多くの避難所はそのまま平置きにされています。

避難所で生活している人たちに、勝手に持っていかないように伝えているものの、そのことを知らずに持って行ってしまう人もでてきます。

そうなると、ずっと誰かが物資を見張っていなければいけなくなります。

<参考>

http://www.city.ichikawa.lg.jp/pr/2170204/toku_topics2170204.html

また、避難所の運営には、たくさんの仕事があります。

管理部(避難者名簿管理、安否確認対 応)

情報広報(掲示板管理、マスコミ対応)

警備(巡回警備、防火防犯)

食料物資(炊出し、物資配布)

医療(応急手当、負傷者管理、医薬品 管理等)

衛生(清掃、トイレ、ごみ)

ボランティア(ボランティア受入、管理)

総務(本部運営)

避難所の運営にかかわる人も被災者の1人です。心身を休められるよう配慮が必要です。

参考>

http://www.saigaichousa-db-isad.jp/drsdb_photo/photoSearchResult.do;jsessionid=F379E42086132D9D386553AA30C77C6A  

http://www.isad.or.jp/  

http://jdarchive.org/ja/

避難所の様子はイメージできたでしょうか。

では、このような状況を踏まえて、みんなに考えてもらう課題を説明します。

避難所の運営を手伝うAさん。日中は物資の誘導やボランティアの受け入れ、そして夜は一晩中、他の職員と交代で避難所の鍵のかからない支援物資の集積所の見張りをしています。
支援物資は数に限りがあるため、どの世帯に何個配布するのか?、残りの物資で何日耐えなければならないのか?、など、正確に管理する必要があります。

勝手に持って行かないよう避難者の方にもお知らせしてはいますが、そのことを知らない人が持って行ってしまうことも起きていました。

そのため、Aさんや他のスタッフは身体を休める時間がほとんどありません。

そこで、Aさんや他のスタッフの人たちが、支援物資がなくなってしまう心配をせず、ゆっくり休むことができるように【 支援物資に人が近づくと知らせてくれる装置 】をつくりましょう。

具体的にどんなものだと良いでしょうか?

それをいきなり考えるのは難しいので、4コマ漫画のシートを使って考えていきましょう。

★シート①を配る

左側は、何も対策をしなかった場合のストーリーです。

1コマ目。支援物資があります。

2コマ目。支援物資をもらう際のルールを知らないおばあさんが、物資を持っていこうとしています。

3コマ目。それに気づいたスタッフのAさんが駆けつけ、勝手に持って行ってはいけないことを説明しました。

4コマ目。そんなことが続いたAさんは、いつも物資を見張っていてゆっくり休むことができず、体調を崩してしまいました。

みなさんには、まずシートの右側部分を【支援物資に近づくと知らせてくれる装置】を考えて埋めてもらいたいと思います。

真ん中の空いている2コマを埋めてください。

1コマ目。支援物資があります。

2コマ目。【支援物資に近づくと知らせてくれる装置】とは具体的にどんなものなのか、具体的なアイデアを考えてみましょう。

たとえば…【支援物資に近づくと、LEDが緑から赤に変わって知らせてくれる装置】。というアイデアを考えました。

3コマ目。2コマ目で考えたアイデアが実現した結果、人の気持ちや行動はどう変わるのか、具体的に書いてみましょう。

保管場所にずっといなくても、光ったときだけ行動すればよくなりました。

4コマ目。対策がされたことで物資の管理がスムーズになり、Aさんはしっかり休むことができるようになりました。

まずは個人で考える時間を取ります。その後、チームの仲間同士でどんなアイデアを考えたのか発表し合いましょう。

★質問はないか確認する

★個人5分⇒チーム15分

アイデアは考えられましたか?次にそのアイデアを、実際にモジュールを使ってつくってみましょう。

まずは前回も紹介したこのモジュールの機能について、おさらいします。

モジュールとはこの箱型のものです。この中にはいろいろな電子部品が入っています。

どんな電子部品が入っているのかというと…

<INPUT>

距離センサーは物体との距離を感知する

光センサーは光の明るさを感知する

プッシュスイッチは電気のON/OFFを切り替える

<OUTPUT>

ブザーは音が鳴る

振動モーターは振動する

LEDは光る、消える

サーボは指定した角度まで動く

★モジュールを掲げて見せながら紹介する

でした。

では、チームの中でどのアイデアからつくってみるか決めたら、アイデアにはどのモジュールが使えそうか話し合って決めましょう。

★それぞれのチームが何のIN&OUTを使うのか把握しておく

決まりましたか? ではまず、INPUTのモジュールにコードをさしていきます。プラスのマークがある差し口に赤いコード、マイナスのマークがある差し口に黒いコード、真ん中に白いコードを差してください。できたら、選んだOUTPUTのモジュールにも同様に差していきましょう。

★すべてのチーム同時に進める

★作業が進んでいないチームはないか適宜確認

次にアルディーノのモジュールです。ここに指令を記憶させることでINPUTとOUTPUTを制御することができます。

それぞれINPUTとOUTPUTの名前がある差し口に、赤・黒・白のコードをさしていきましょう。

★すべてのチーム同時に進める

★作業が進んでいないチームはないか適宜確認

パソコンを開いて、前回使った「issuepluscode_v1.1」というファイルを開いてください。

開けましたか?このコードの意味をわかる人はいますか?

「距離センサーの値が20よりも小さい」という条件に、当てはまるときは「LEDが赤く光る」、当てはまらないときは「LEDが緑に光る」という指令が書かれていました。

今日は、それぞれのチームによってつくりたいアイデア、そして使うINPUT&OUTPUTが異なります。このコードを書き換えてプログラミングしていきましょう。

書き換えることができるのは、枠で囲った部分です。赤枠部分にINPUTの値、青枠部分にOUTPUTの動作を指令してみましょう。

★すべてのチーム同時に進める

★作業が進んでいないチームがないか適宜確認

★終わったら他のアイデアもやってみる

★書き換えることができたら ファイル>名前を付けて保存で別ファイルとして保存する

他のチームのみんなに、どんな風にできたか発表しましょう。

★発表するチームの近くに集まって、動かしてもらう

次にみなさんに取り組んでもらう課題は「熱中症の予防」です。

まずは熱中症について学んでいきましょう。

2012年7月に発生した九州北部豪雨でも、多くの方が避難所で避難生活を送っていました。

最高気温30度を超える真夏日が続き、熱中症のような症状が出て点滴を受ける人が出てしまいました。

「熱中症」という言葉は聞いたことがあると思いますが、具体的にどんな症状でしょうか。

「熱中症」とは、暑さに身体が適応できずに起こる症状の総称です。たとえば「めまいがする、気を失うほど眠い、顔色が白くなる」、「身体全身がだるい、吐き気がする、頭が痛い」、「手足がつる、筋肉痛になる」、「体温が高い、会話ができない」などの症状が出ます。

熱中症は真夏の暑い日に外で運動しているとなるイメージがありますが、実はそれだけではありません。

気温が高いだけでなく、湿度が高い、日差しが強い、風が吹かないことも熱中症が起こりやすい環境なのです。

また、熱中症になりやすい人がいます。

乳幼児は、大人より体温が高いけれど汗をかく身体の機能がまだ発達していないため、体温調節が難しく、熱中症が起こりやすくなります。

また、高齢者は、身体の機能が衰え、暑さやのどの渇きを感じにくくなってしまうため、水分補給を怠ってしまって熱中症になりやすいのです。

そのほかにも、肥満の人、体調の悪い人なども熱中症になりやすいと言われています。

<参考>

http://www.otsuka.co.jp/health_illness/heatdisorder/care_06/index2.html

熱中症を防ぐには、体温調節と水分補給が大切です。

冷房のない避難所でできることは、風通しの良いところへ行くこと、こまめに水分と塩分をとることなどがあります。

熱中症が起こりやすい環境はわかりましたね。

では、次の課題を説明します。

避難所で生活している80歳のBさん。「喉も渇かないし、汗もかいていない」と、水分補給をほとんどしていません。

このままだと、気がつかないうちに身体の体温が上がり、脱水症状を経て、熱中症になってしまう恐れがあります。

熱中症を防ぐためにはこまめな水分補給が大切ですが、Bさんは一人で避難しているため、水分の摂取を促してくれるような家族もいません。

【Bさんがこまめに水を飲み、熱中症になるのを防ぐための装置】をつくりましょう。

【Bさんがこまめに水を飲み、熱中症になるのを防ぐための装置】。

一体どんなものなのか、考えていきましょう。

この課題も、まずは4コマのシートを使って考えていきましょう。

左側は、何も対策をしなかった場合のストーリーです。

1コマ目。Bさんは避難所で過ごしています。水が1人1本配られましたが、飲む様子はありません。

2コマ目。2時間ほど経過しましたが、まだ飲んでいないようです。

3コマ目。5時間以上経っても、一度も水を口にしていません。

4コマ目。なんだか気分が悪くなり、めまいがしてきました。気が付かないうちに脱水症状になり、熱中症になってしまったのです。

右側は【Bさんがこまめに水を飲み、熱中症になるのを防ぐための装置】をつくった場合のストーリーです。

真ん中の空いている2コマをこれから考えてもらいます。

★シート②配布

1コマ目。Bさんは避難所で過ごしています。

水が1人1本配られましたが、飲む様子はありません。

2コマ目。【Bさんがこまめに水を飲み、熱中症になるのを防ぐための装置】とは具体的にどんなものなのか、具体的なアイデアを考えてみましょう。

たとえば…【飲んでから1時間経つとブザーが鳴って知らせてくれる装置】

3コマ目。2コマ目で考えたアイデアが実現した結果、人の気持ちや行動はどう変わるのか、具体的に書いてみましょう。

Bさんは、「そろそろ水を飲まなきゃ!」と気がついて、飲み始めました。

4コマ目。
Bさんは適度に水分補給できるようになったことで、熱中症になることなく、元気に過ごすことができました。

この課題もまず個人で考える時間を取ります。その後、チームの仲間とどんなアイデアを考えたのか発表し合いましょう。

本日学んだことのまとめです。

アイデアを考えるときは、問題を抱えて困っている人の様子と気持ちを、できるだけ具体的にイメージしてみること、

プログラミングでは、INPUT&OUTPUTブロックの使い方と、arduinoを使ったコードの書き方について学びました。

今日は、前半で【支援物資の管理】という課題に取り組み、後半で【熱中症の予防】という課題に取り組みます。

よろしくお願いします。

これで、今日の授業を終わります。ありがとうございました。